コラム

楽譜を”楽に、素早く”読めるようになるコツをお教えします

突然ですが、皆さんは楽譜を読むのは得意ですか?

自信を持って「はい」と言える方はあまり多くないかもしれません。というのも、私のところにも「楽譜をスムーズに読めなくて、なかなか楽器の練習が進まない」と相談に来る人が少なくないからです。

せっかく楽器の練習がしたいと思っているのに、楽譜を読むのが大変というだけで演奏のモチベーションが下がってしまうのは嫌ですよね。

そこで今回は、楽譜を楽に、素早く読むコツについてお話ししようと思います。

①五線上の音の高さを覚える

当たり前のことだと思われそうですが、念のため書いておきます。

まずは基準となるドの音、それ以外の6つの音、それらのオクターブ違いの音、臨時記号を付けた音の場所を確実に覚えましょう。

そして音符を見た時に、素早くその音が何の音なのかを答えられるようにしましょう。

私たちが初めてひらがなやカタカナに出会った時、全くそれらを読めなかったはずです。

ですが1つ1つの発音を習って、実際に書いて文字の形を少しずつ覚えていくことで、少しずつ文章が読めるようになっていったと思います。

音符も同じように、焦らずに1つ1つ覚えていくことが必要です。ただ楽譜を読むだけでなく、音符を読むアプリで訓練してみたり、実際に五線譜に書いてみたりしてもいいでしょう。

②音符同士の距離を読む

1つ1つの音を覚えたら、近くにある音符もまとめて読めるようになると楽になります。文字でいうと単語単位で文字を読むような感覚です。

例えば音符が垂直方向に重なっているときに、2度上の音(ドから見たレ)はずれて重なり、3度上の音(ドから見たミ)はぴったり隣り合うように重なります。

このように音符同士の距離を読んで把握していくのです

1,3,5,7度の場合、どちらの音符も線と線、もしくは間(かん:線と線の間)と間に位置しています。

2,4,6,8度の場合、音符はそれぞれ線か間に位置しています。

例えば7度と8度は同じくらい距離が離れているように見えますが、2つの音符が同じ場所にあるか、それとも違う場所にあるかで判断をすることができます。

これはどの音部記号でも、どの高さでも同じです。音符が垂直方向にどのくらい離れているかを見て、瞬時に音の高さを読めるようにしましょう。

加線を含んだものや9度以上の複音程は、最初はドレミを書いてもいいと思いますが、慣れてくるとすらすら読めるようになります。

ちなみにこれは水平方向についても応用できます。音符が横に離れていて少し見にくいですが、同じように距離で把握するようにしてみましょう。

③音形で覚える

ここからはバッハの無伴奏チェロ組曲第1番を例にしてみたいと思います。楽譜はimslpからダウンロードできます(下の楽譜は#12165とあるバージョンです)。

まずは第1小節、1,2拍と3,4拍を見比べると全く同じ形なので、後半は読む必要はありません。

最初の音はです。次の音は線の上にあり、線1本分だけ離れています。なので5度の距離、だと分かります。

この距離についてよく分かっていない場合は度数について勉強するといいのですが、そうでなくても階段を1段抜かし、2段抜かしで登る時の足の幅の感覚のようなものを持つと、徐々に分かってくると思います。

その次は音符が線からずれており、線2本分だけ離れているので6度、の音です。次の音符は隣り合っている音なのでの音です。

2拍目は1拍目の音をそのまま水平に移動させるとぴったり重なるので、シレシレと動いていることが分かります。

続いて第2小節も見てみましょう。こちらも1,2拍と3,4拍が全く同じです。

小節の最初の音はのままですが、それ以降の音が少しだけ上がっています。

音形は全く変わらず、全ての音が2度上に移動しているので、ミドシドミドミとなります。

このように同じところは極力省略して読まない似たところは前の音形から推測するというのを徹底していくと楽譜が楽に、素早く読めるようになってくるはずです。

慣れてくれば始点の音だけを見て音符を読み進めていくことができるようになりますし、大きく離れた音や複雑な和音も一瞬で把握することができるようになります。

おまけ 音楽理論を習得する

和声と対位法と呼ばれる理論を勉強すると、その過程で音符をたくさん書くことになるのですぐに慣れますし、次の和音や旋律の音を何となく予想できるようにもなります。

また、形式学を学べば曲全体の形式をすぐに把握して、同じところは読まないという判断をよりスムーズにできるようになるでしょう。

楽曲分析をひたすらこなして、曲の特徴を瞬時に捉えられるようになるのもいいかもしれません。

まずはとにかく訓練してみてください。piyotaku3@gmail.comにメールを頂ければレッスンも行えます。

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