こんばんは、吉田(@yoshitaku_p)です。
制作依頼を受けて作曲するとき、依頼してくれた方のイメージに合った曲を作ることは大切ですが、それと同じくらい効率よく作るというのも大切です。
特に制作を並行して行う場合、メロディーが降ってくるのを待っていては仕事になりません。
そこで今回は、プロの作曲家として私がどのような流れで作曲をしているかを公開したいと思います。
はじめに
作る曲の内容や関わる人の有無によって細かな部分は変わりますが、基本的にはもくじにあるような流れで曲を制作していきます。
曲によってはいくつかフェーズをスキップしたり、並行して進めることもあります。
作曲するということは「曲に使われる要素を徐々に限定していくこと」と考えることもできます。
当然、最初に決めるものが最も自由度が高くなるので、メロディーやコード進行が先に思い浮かんでしまっても、必ずコンセプトに立ち返って考えるようにしています。
もし作曲している人が見ていたら、伝えたいことや聞いてほしいことを一番最初に作ることをおすすめします。コード進行やミックスの出来を聞いてくれるリスナーはあまり多くありません。
設計図を作る
コンセプト/世界観の設定
ふと思い浮かんだメロディーやそのうち使おうと思っていたコード進行を頭の中でループさせながら、曲全体をどのようにまとめていくかを考えます。
あまり深く考えすぎないほうがいいので、歩いたり風呂に入ったりしてリラックスしているときにまとめることが多いです。
サンプルの制作
まとめたコンセプトに合ったメロディーなどが作れるかどうかを、主にキーボードを使って確認してみます。
場合によっては、録音した素材を並べたりシステムを組んだりして実験をします。この段階で纏まらなさそうであれば、一旦アイデアを放置して新しい曲に取り掛かります。
曲の骨組みを作る
歌詞/テキストの設定
歌が必要な曲の場合は、ここでコンセプトに合った歌詞を書いていきます。
僕は歌詞を作るのがあまり得意ではないので、曲を先に作ってしまって他の人に作ってもらうことも割とあります。
メロディー等の設定
メインになるメロディーを作っていきます。それに合わせてハモリや他のパートの動きも少しずつ決めていきます。
ラフに全体像を作ってから細部を掘り進めて、後のアレンジのフェーズで固められるように作っておきます。
コード/和声の設定
メロディーを作る段階でコードの進行も決まるので、メロディーや曲に合うコードを選んでいきます。
一旦簡単なコードを当ててから、リハーモナイズという考え方を使って複雑なコードに置き換えることもあります。
どのパートにどの音を置くか、複数重ねる音や省く音があればどうするかを考えて、全体の調整感や響きを整えていきます。
肉付け・化粧をする
アレンジ/オーケストレーション
骨組みがより豊かに聞こえるように、メロディーやコードを楽器に割り当てていきます。
煌びやかなベルのような音や、ストリングスの音などの高音域の音はこの段階で決めることが多いです。
ミックス/マスタリング
この辺りは専門的に勉強していないので、大きな仕事の場合は信頼できる方に任せています。
そうでない場合は僕の方で簡易ミックス・マスタリングをして制作が終わりになります。
モデルケース
かつて私が作った曲をモデルとして、それぞれのフェーズを解説してみたいと思います。
ボカロ曲の場合
この曲は歌詞を他の方に作ってもらったので、歌詞とメロディーの制作が逆になっています。
コンセプト/世界観の設定
ボーカロイドの曲を作るにあたって、暗い曲調で恋愛に関する曲が多いような気がしたのでそれに倣って作ってみました。バンドサウンドで、曲構成はABサビを基準にして少し形を変えてみました。
サンプルの制作
カラオケで聴くような、シンセサイザーがメロディーで抑揚のついていない仮音源を制作して、歌詞を作る方に送りました。
メロディー/対旋律の設定
ボーカロイドを使うので、音が上に行ったり下に行ったりするような、人が歌うには難しいメロディーにしてみました。
歌詞/テキストの設定
他の方にお願いしましたが、コンセプトに沿って歌詞を書いてもらえるように何度かやりとりをしました。
コード/和声の設定
メロディーラインに沿ってコードをつけていきます。テンポが速いので変わったコードはさほど使わないようにして、2番の直前(1:43)あたりにアクセントになるように1つだけ使いました。
アレンジ/オーケストレーション
いい感じのバンドサウンドにしたかったので、ギターは他の方にお願いしました。ベースやドラムは打ち込んで、オルガンやピアノの音は自分で弾きました。
ミックス/マスタリング
他の方にお願いして綺麗にまとめてもらいました。
おわりに
こんな流れで曲を作っています。
制作依頼を頂いてもほぼ同じように制作を進めていくので、興味があればご連絡ください。その段階の音源もお送りしたいと思います。