今回は主にクラシック音楽の内容になります。
演奏に集中するために、譜読みはなるべく早く終わらせ、できたら暗記しておきたいと思う人は多いと思います。
そのためには楽譜をきちんと把握する必要があると思いますので、今回は、効率的に楽譜を読む方法を紹介したいと思います。
同じところを見つける
クラシックの曲には、その曲を構成する最小単位である「モチーフ」があることが多いです。
よく言われるのはベートーヴェンの《運命》のモチーフ「ジャジャジャジャーン」ですが、あの曲以外にもモチーフはたくさんあります。
そのモチーフが変形されて曲の大半が構成されていることもあるので、それを見つけられたらほんの少し読むべき部分を減らせます。
また、少し大きい単位として、形式にも注目します。
ABAの三部形式なら後半のAの部分は前半のAとあまり変わらないので、ほとんど読む必要がありません。
ABACAD…のロンド形式も、やはり後半のAの部分はほとんど読む必要がありません。
楽譜を図形として見る
下の画像の音は全て3度です。縦にぴったりくっついている音符です。
また、それが少しずれて重なっている音は2度です。「ぶどう和音とさくらんぼ和音」も参考にしてみてください。
例えば次の画像はサティの《ジュ・トゥ・ヴ》の楽譜ですが、右手に現れている下向きの四分音符は3度です。
これが途中でつぶれます。
つぶれたら絶対に2度です。上の音は同じ高さ(ソ)なので、下の音が上がってきている、と判断できます。
奇数度の重なりは両方の音符が線の上に、もしくは線と線の間にあります。
偶数度の重なりは片方の音符が線の上、もう片方の音符が線と線の間にあります。
このように視覚的に楽譜を捉えることで、よりスムーズに楽譜を把握することができます。
例えば次の楽譜は、ラヴェルの《ハイドンの名によるメヌエット》の最後の部分ですが、左手は何度の重なりでしょうか?
両方が線と線の間にあるので奇数度、そして離れ方を見れば7度です。
下の音さえ読んでおけば、上の音は7度離れた音を押さえればいいですから、よりスムーズに弾けるようになるかもしれません。
大事な音を見分ける
音符の中には、和音の第5音や刺繍音などのように、楽曲の重要な部分を構成しているわけではないという音もあります。
1つ1つの音を細かく弾くことよりも、何となく全体を弾くことが大事なこともあると思います(初見など)。
そういう時は大事でない音は省略してもいいかもしれません。
例えばすぐ上の《ハイドンの名によるメヌエット》の左手、高い方の音(レーソ)は和声的な意味はとてもありますが、横の流れで考えるとさほど大事ではありません。
もちろん省略するだけではなく、演奏の精度を高める上では大事な音とそうでない音の音量バランスを変える必要もあると思います。
楽譜を多面的に理解することで、より豊かな演奏表現に繋げていけるでしょう。
芸大和声1~3巻をまとめた総合和声に、その方法が細かく載っているのですが、少し高めなので楽器屋さんでチラ見するくらいでもいいかもしれません。
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