「アッパー・ストラクチャー・トライアド」と読み、略すとそのままUSTです。意味は「上の方に構成される三和音」です。
今日書いた別な記事「作曲歴15年超の僕の作曲の流れを公開します」の中にしれっと出てきている言葉ですね。
ちなみに僕自身も、かなり理論に詳しい作曲仲間との会話の中でしか話したことがありません。
前に「和音のテンション」という記事の中で、和音は上に伸びていくという話をしたと思います。記事の中にはこのような楽譜も掲載しました。
基本的な3和音の上に音が付け足されて4和音に、さらに付け足されて5和音に、さらに…といった感じです。
このそれぞれの和音に名前(コードネーム)をつけようとした時に少しやっかいなことが起こります。
つまり、一番左はC(ド・ミ・ソ)というコードネームで、その隣がCM7(ド・ミ・ソ・シ)という名前になるのですが、一番右の和音はCM7(9,11,13)となってしまい、どのような音が使われているのかパッと見では分かりません。
それを解決するために、和音を途中で分割してDm/CM7と書く方法がアッパー・ストラクチャー・トライアドです。CM7(ド・ミ・ソ・シ)の上にDm(レ・ファ・ラ)が構成されているというわけです。
このように書くと、ピアノで弾く時にも視覚的にわかるのでものすごく便利です。つまり、右手でDmを、左手でCM7を弾くと、上の楽譜の響きになるんです。
A/G7とか、F#/Cとか、なかなか魅力的な響きはあるのですが、こんなゴテゴテな和音を使うのがジャズ以外にはあまりないので、この用語を使うこと自体がないというわけです。
もしアレンジに困ったら「ん〜じゃあアッパー・ストラクチャー・トライアドを使ってみるか〜」とドヤ顔で話すと、周りからの目が変わるかもしれません。
「こんな内容を扱ってほしい!」というリクエストがありましたら、こちらのフォームから入力していただけたら、ふとした時にまとめるかもしれません。