かつてヤマハのレッスンを受けていた頃、ヤマハのグレードを受けるために伴奏付けの方法をみっちり教わっていました。
当時は何が何だか分からなくて大変でしたが、慣れてきたらメロディーを聞けばコードまでパッと思い浮かぶようになったので、今となっては感謝しています。
伴奏付けを難しいと思っている方は少なくないと思うので、今回は演奏家向けの伴奏付けのコツについて少しまとめてみたいと思います。
前提
伴奏付けと言っても色々なジャンルとやり方があるので、今回はヤマハの試験でも出てきそうな、簡単な童謡風のメロディーにコードをつける方法を考えましょう。
この記事のために作ったメロディーで考えてみましょう。
コードをつける場所を決める
基本的に1小節に1コードでいいと思いますが、もしうまく合わない場合は2つ以上使ってもいいかもしれません。
ただ、1拍ずつコードをつけると忙しい感じがしてしまうので、部分的にのみ使うことをお勧めします。
メロディーの音を含むダイアトニックコードを探す
コードはメロディーの音と関連していることが多いので、まずはメロディーにある音を含むコードを探します。
例えば譜例の曲はCメジャーですが、1小節目にはソーラソミードーという音が並んでいます。
小節内にある音をより多く含むコードを下の7つのダイアトニックコードの中から探しましょう。
実際にピアノなどでメロディーとコードを合わせて検討すると、Cがぴったり合うことが分かります(もっとも、曲の最初は主和音であるIから始まる曲が多いです)。
続く2小節目はドーレドラーファーですが、このメロディーを多く含むコードはFです。1小節目から繋げて弾いてみると、問題なくつながっているように聞こえます。
このようにして少しずつ当てはまりそうなコードを探していきましょう。最後の小節まで作ると恐らくこんな感じになると思います。
コード進行の型を覚える
上の方法でコードを探していくとかなりの時間がかかってしまうので、コード進行の型をある程度覚えてしまいましょう。
童謡風の曲の場合はあまり凝ったコード進行は出てきません。C-G-CとかC-F-C、C-F-G-Cといった進行がよく出てきます。
今回の曲も1段目を見てみるとC-F-C-G-Cというコード進行になっていますが、これは上に挙げた基本的な進行の組み合わせでできています。
他の曲のコード進行を少しずつ覚えていくとパッと見で分かるようになるはずです。ディグリーネームに書き直して、似たような進行の曲を探してみましょう。
リハーモナイズする
CとFとGだけで問題なくコード進行を作れるのは分かりましたが、少し味気ないような気もします。基本的なコードを付けられるようになったら、少しアレンジしてみることをおすすめします。
例えばIVはIIに、IはVIに置き換えることができます。これらのコードを代理コードと呼びます。完全に置き換えてもいいでしょうし、3拍目から代理コードにするのもいいでしょう。
ダイアトニックコードに7thや9thなどのテンションが加わったものを使ってもいいかもしれません。
セカンダリードミナントは、他のキーから借りてきたコードですが、これを使うとグッと印象が変わります。サブドミナントマイナーという、マイナーキーからのコードも色を変えるのに有効です。
とにかく色々なコードを当てはめてみて、メロディーに合っているかを確認してみましょう。メロディーと半音でぶつかるような音を持つコードは聞こえが悪い可能性があるので、少し注意が必要です。
もし本でしっかり勉強したいと思ったら、ヤマハのコード進行法がおすすめです。セカンダリードミナントはもちろんですが、非和声音についてもまとまっているのにたった1,000円で買うことができます。
アレンジ例
最終的に色々なコードを組み込んでみるとこんなアレンジが出来上がりました。私個人の趣味がモリモリに詰まっていますが、勘弁してください。
誰が必要か分かりませんがPDFも用意しました。こちらからダウンロードできます。
まとめ
伴奏付けは一朝一夕ではなかなかできません。コードの種類を覚えて、実際にメロディーにつけてみたり、時には作曲に挑戦してみることも必要かもしれません。
自分が今演奏している曲の伴奏を新たに作ってみたり、逆に伴奏からメロディーを作ったりして、多くの実験をしてみてください。
「こんな内容を扱ってほしい!」というリクエストがありましたら、こちらのフォームから入力していただけたら、ふとした時にまとめるかもしれません。