音楽をやっていると、どこかで和音について勉強すると思うのですが、今日紹介するのはあまり目にしない言葉だと思います。
今回は空虚五度というものをご紹介します。早速ですが、左が普通の和音、右が空虚五度の和音です。
空虚五度とは
和音と言っていいのか、少し微妙なやつです。コード名としてはC(omit3)と書いたりします。見比べて分かる通り、空虚五度の方は真ん中の3度の音が省略されています。
なのでピアノなどの楽器で弾き比べてみると、左は充実した響きに聴こえるのに対して、右は何となくもの寂しい響きに聴こえると思います。ちなみにそれは、5度の音(上の和音ではソ)の音が根音(上の和音ではド)に集約されてしまうためです(倍音については機会があったらまとめます)。
また、3度の音が省略されているため明るいのか暗いのか判別することができません。
空虚五度の使われ方
例えばクラシック音楽では、古典派の時代に入るまでは比較的普通に使われていたようです。
それ以降のクラシックの中では特別な効果を狙って使われることが多いです。
好きでよく見ているベートーヴェンの「交響曲第9番」です。曲の最初がラとミの空虚五度で始まります。
何とも不安定な、それでいて大きな音楽の始まりを感じさせる響きですね。
ところで、この空虚五度はロックでは普通に使われます。有名なところでいうとこの曲でしょうか。
エレキギターを弾いたことがある人なら一度は弾いたことがあるであろうこのリフ。ロックではパワーコードと呼ばれています。
なぜこれが使われるかと言えば、単純に弾きやすいんですよね。複雑な指使いもなく、音の高さを変えるときは横に移動させるだけです。
こういう曲を普通の和音でやってしまうと重くなって聞けなくなるんですよね。パワーコードくらいスカスカな方がちょうどいいです。
実は僕はピアノやキーボードで曲を弾くとき、この空虚五度の響きにはものすごく注意しています。
強迫観念くらいナーバスになっていますが、音楽全体が空虚五度の響きになってしまうと、急に寂しくなってしまうんですよ。
なので、この前弾いたパプリカも絶対に空虚五度が出ないように、右手の親指〜中指あたりで和音の真ん中の音を補っています。
どうでしょうか。全体的にスカスカに聴こえる部分はないと思います。あったら教えてください。
「こんな内容を扱ってほしい!」というリクエストがありましたら、こちらのフォームから入力していただけたら、ふとした時にまとめるかもしれません。