コラム

スーパー・ウルトラ・ハイパー・メガ・メタ・リディアン

小学生の考える必殺技のような名前ですが、難しい音楽用語です。

英語では“Super Ultra Hyper Mega Meta Lydian”となりますが、これは作曲家のJacob Collierが付けた名前のようです(詳細を知っている方がいたら教えてください)。

解説

全て英語ですが下の動画で話しています。

このスーパーウルトラ…について話す前に、スケールとは何かを少し書きたいと思います。

スケールとは

ドレミファソラシのように音を並べたもの(=音階)です。ドレミファソラシと並べばCメジャースケール、ドレミソラと並べばCペンタトニックスケール、ドミ♭ファソ♭ソシ♭と並べばCブルーノートスケールと呼ばれます。

どれもドから始まるスケールですが、音にしてみるとそれぞれに特徴が聞き取れると思います。ドミファソシ、と鳴らすと、これはどこか特定の地域が思い浮かぶはずです。

スケールの中に含まれる半音、全音、場合によってはそれよりも広い音程の組み合わせによって印象が異なります。

音の種類は12しかないのに、どうしてこんなにあるんだ、というくらいスケールには種類がありますので、詳しくはWikipediaをご覧ください。

スケールは基本的には1オクターブの中に収まるように作られています。ドレミファソラシとなればその次もドレミファソラシ、そしてその次も…続いていくわけですね。

スーパー・ウルトラ…の場合

今回のスーパー・ウルトラ・ハイパー・メガ・メタ・リディアン(スケール)は循環した構造を持たず、音が上がっていくにつれて転調していきます。

ドの音に注目してみると、1段目ではオクターブ上のドの音が出てきますが、2段目ではシャープがついています。他の音を見ても、音が高くなればなるほどシャープが増えていきます。

このスケールでは、音が上がるとドミナントキー(属調)の方に移り、音が下がるとサブドミナントキー(下属調)に移っていきます。

このような音の高さによって構成する音が変わるスケールを曲で使う場合、厳格に使う音を守ると曲全体は複数のキーが共存する状態(ポリトーナル:複調)になります。

つまり、メロディーはEメジャー、コードはCメジャー、ベースはE♭メジャーのようになってしまいます。ただ使い勝手が良くないので、メロディーラインに限ってこのスケールを使う、とした方が使いやすいと思います。

余談

クラシック音楽、とくに現代音楽呼ばれるジャンルの中には、ポリトーナルの曲はいくつかあります。

例えば下の動画はリゲティの「無秩序」というピアノ曲なのですが、右手ではBメジャーの音(黒鍵)を、左手ではCメジャーの音(白鍵)の音を演奏します。

細かな部分だけを聞けばCメジャーらしさなどを聞き取ることはできますが、全体的に聞くと何調なのかは判断ができません。このよう複雑な響きを作る時にスーパー・ウルトラ…は役に立つのかもしれません。

ちなみに私もスーパー・ウルトラ・ハイパー・メガ・メタ・リディアン(スケール)で作った曲があるのですがオンラインにはないので、近いうちに準備したいと思います。

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