皆さんは今年の3月11日はどのように過ごしましたか。
私は福島出身で3.11の時にも被災したので、毎年この日を複雑な気持ちで迎えています。
たまたまYouTubeの関連動画で緊急地震速報の音が鳴る動画を見つけたので再生してみましたが、やはりいい気持ちにはなりませんよね。
今日はその緊急地震速報の音を、作曲家目線で分析してみたいと思います。
詳細
このパターンを作ったのは、伊福部達(とおる)さんです。ちなみに、この方のおじさんはゴジラの作曲でも有名な伊福部昭さんです。
おじさんの曲も参考にしながら、緊張感のあるパターンを作るために色々と試行錯誤したということがこちらのPDFにまとまっていました。
このパターンを楽譜に起こすと、次のようになります。
和音の特徴
最初の5連符はコードネームに直すとC7(#9)となるのですが、少し変わった(#9)という音が含まれています。
楽譜上はレ#で書かれていますが、異名同音で書き換えるとミ♭になります。
ということは、メジャーコードの上にマイナーコードの音が乗っているとも考えられるので、かなりクセのある和音に聞こえると思います(ジャズではよくドミナントとして弾かれます)。
ちなみに現代音楽では、もっと露骨にメジャーコードとマイナーコードが混ざった次のような和音を使うこともあります。
こちらはシ♭の音が含まれていないので、さらにきつい響きになります。使うシーンがかなり限定される和音です。
話を戻しますが、そのC7(#9)が半音ずり上がってC#7(#9)として再登場します。
そうすると次の9つの音からこのパターンは出来ているということになりますが、この9つ全ての音を含むメジャーキー、マイナーキーはありません。
普通のスケールが7つの音から出来ているのを考えると当然ですよね。
ということで調性感が薄く、無調に近い響きになるので、不安とか恐怖感が出てくると思います。
音色も、家電の電子音や他の音楽に混ざらないような独特な音色を採用しているようです。
まとめ
緊急地震速報に限らず、このような音はすぐ聞こえるようにしたり、危険が迫っているということを知らせる必要があります。
冒頭で私は嫌な気持ちになったと書きましたが、正しく役割を果たしている音だと言えるでしょう。
「こんな内容を扱ってほしい!」というリクエストがありましたら、こちらのフォームから入力していただけたら、ふとした時にまとめるかもしれません。