皆さんは曲を演奏するための楽譜はどのように用意していますか?
最近ではタブレットとBluetoothのペダルで楽譜を見る人が増えましたが、紙の楽譜を使う場面もまだまだ多いと思います。
紙には紙のメリットがありますが、ちゃんと製本をしておかないと演奏に支障が出ることも多いです。
私はこれまでに「ページの順番がバラバラでだと演奏が始まってから気づいた人」「楽譜が譜面台から落ちてアコーディオンのように広がってしまった人」を見たことがあります。
演奏の面でも、管理の面でも、楽譜は綺麗に製本しておいた方が絶対にいいです。ですがインターネットにはあまり良い製本の仕方がまとめられていませんでした。
そこで今回は、楽譜を綺麗に製本する方法をまとめてみようと思います。
前提
この内容は、オーケストラの楽譜のように譜めくりをする前提の楽譜を想定しています;
オーケストラの楽譜はページ数が多く、譜めくりをするためにページ右下の小節が休みになっていることが多く、きちっと製本をすると利便性がかなり高くなります。
しかしピアノ譜などの場合は、ページ間だけテープで止める方が利便性が高い時もありますので、適宜ご活用ください
用意するもの
スティックのり
楽譜を貼り付けるために必要です。色が付いてる方が使いやすいので、圧倒的に消えいろPiTをオススメしますが、スティックのりなら何でも大丈夫です。
ちなみに液体のりはページが波打ってしまうのでダメ、テープのりは貼り直しができないのでダメです。
はさみ
適当なはさみで構いませんが、テープを切るのでベタベタが少し付いてしまうことは覚悟してください。
私はプレゼントでもらったカッターにもなるはさみを使っていますが、安いもので十分です。
サージカルテープ
包帯とかを止めるためのテープです。プラスチックのものよりは不織布や紙のテープのほうがいい感じがします。
白いマスキングテープがあればそれでもいいと思いますが、こちらは100均や薬局でも手に入れられる上、包帯も止めることができて大変便利です。
背表紙を止めるのに使いますが、見開きB3サイズにしたい場合、印刷機がB4までしか対応していないことが多いのでページの貼り付けにも使います。
基本的には幅が狭い一般的なものだけで大丈夫ですが、背表紙を綺麗にしたい場合は幅広のサージカルテープや背表紙用のテープを用意してもいいかもしれません。
楽譜
家庭用のインクジェットプリンタだと発色が悪く、水で滲んでしまうので、コンビニのレーザープリンタを使うことをおすすめします。
USBからの印刷だとどこでも10円で印刷できるのですが、アプリからの印刷はセブンイレブンだけ20円なので気をつけてください。
アプリの場合はあらかじめインストールして、ちゃんとPDFデータをアプリに転送したことを確認してからコンビニに行きましょう。
製本手順
コピー・印刷をする
楽譜をコピーする場合、コピー後の用紙サイズがA4やB4などのサイズにぴったり合わないことが多いです。その場合はB4サイズで印刷し、後でカッターなどでサイズを整えてもいいでしょう。
基本的に本の形の楽譜をコピーすることになると思うので、きちんと開かない楽譜の場合はコピー機の蓋を上からしっかり押さえましょう。そうすると真ん中に黒い帯ができません。
PDFの印刷の場合は、A3サイズにして2ページを1枚にまとめる設定がおすすめです(若干小さくされてしまうので、ページの周りの余白が大きくなりすぎる場合はPDFを編集できるソフトで余白をトリミングしてください)。
この時、1ページ目を表紙にしたい場合は印刷範囲の設定に気をつけてください。2ページ目とまとまって出てきてしまうと最初からやり直しになってしまいます。
他にも、サイズのミスや用紙に合わせる設定など、ミスの元になる設定がたくさんあるので、10円だけ入れて試し印刷をしてもいいでしょう。
これは余談ですが、アプリからプリントをする場合は、プリンタの上にスマホを置いてきてしまいがちなので確実に回収しましょう。
そしてこれも余談ですが、何度か印刷していると印刷用紙が途切れるときがあります。用紙は店員さんが補給してくれますが、補給後の紙質や色合いが元の紙と違うことがあります。これは残念ですが諦めましょう。
貼り付けの準備をする
A3の楽譜は谷折りで折ります。この時しっかり折り目をつけておかないと、全部を重ねた時に背表紙が膨らんでしまうのでしっかり折ります。
私は1枚ずつ折ってから、数枚をまとめてプレスし、全て折り終わってからまとめてプレスします。
B4の場合は左右のページをサージカルテープで貼り合わせます。この時、ページの上下を間違えないように気をつけてください。
テープは谷折りになるように印刷面に貼りましょう。ページを折ったときにテープが内側に入るようにしないと折り畳みにくくなったり、ゴミがついてしまいます。
テープは必要な長さを伸ばして楽譜に貼ります。楽譜を横にした状態で、テープを左右に伸ばして貼ると曲がりにくくなります。
このとき、楽譜だけにテープを貼ろうとするとずれてしまうことが多いので、机ごと貼ってしまうことをおすすめします(机は綺麗に拭いておきましょう)。
また、テープは少し伸びるので、左右に強く引っ張りながら貼ると楽譜が丸まってしまいます。軽く張る感じで十分です。
片方の楽譜に貼ったら裏返してもう片方のページを貼り付けます。テープを貼った方を机に置いて、上からもう片方のページをすきまができないように貼りましょう。
貼り終わったら、楽譜をテープが内側になるように折って、テープの端を切り落とします。
右手用のはさみの場合は、左側に楽譜がある状態で切ると、切れ端が残らないように切れます。切れ端が残ってしまうと楽譜がベタベタになったり、ほこりをくっつけてしまったりするので、極力残らないように切りましょう。
慣れてきたらテープの始点側をぴったり貼って、終点側だけを余らせるように貼ると、切る工程を1回減らすことができます。
楽譜にのりを塗る
楽譜を裏返して右側のページを裏に折り込むようにし、左側のページにのりを塗っていきます。ページの上下は正しく、右側に折り目がある状態です。
四隅にカギカッコを書くようにしてのりを塗りましょう。外側に向かって塗るようにすると紙がグシャってなることなく塗れます。特に左下のカッコはめくられる部分なのでしっかり塗ります。私は左側の長辺と、真ん中に丸を書くようにも塗っています(下図の緑線)。そうするとより剥がれにくくなるのでおすすめです。
のりはなるべく楽譜のギリギリまで塗りましょう。そうしないとページが剥がれてしまったり、端がめくれて折れてしまったりします。
また、のりは強く塗りすぎると塊がついてしまうので、その時は薄く伸ばすか爪楊枝などで取り除くとボコボコにならなくて済みます。
楽譜を貼り付ける
のりを塗り終わったら、反時計回りに90度回して、折り目が上に来るようにします。
次のページの楽譜を持って上から貼り合わせます。折り目同士を合わせるように貼り付けるとずれにくくなり、折ったときにできる小さなズレもあまり気にならなくなります。
貼り合わせたら念のためにページめくりを確認しましょう。この時点で間違いに気づけば剥がして貼り直すこともできますが、ぴったりくっついてから間違いに気づいて、該当ページだけをコンビニで印刷するのは結構面倒です。
ページ数が多い場合は3,4枚を貼り合わせたら、また別の3,4枚を貼り合わせて最後にまとめて貼りましょう。そうすると、徐々に向きがずれて完成形が螺旋階段のようになることを防ぐことができます。
貼り終わったら重しを乗せておくと、完成形がより綺麗になります。
しばらく放置したら、背表紙の部分をテープで止めます。
幅広のサージカルテープがあれば縦に真っ直ぐ貼ることができますが、そうでない場合でも上部、真ん中、下部を横に軽く止めるだけでも十分です。こうすることで背表紙側から剥がれることを防げます。
片付けをする
のりはカチッと音がするまで押し込んで、ちゃんと蓋をしておきましょう。乾いて使えなくなると面倒です。
サージカルテープは買った時の袋にしまいましょう。裸で置いておくと、側面に埃がついてしまい綺麗な楽譜が作れなくなります。
ハサミのネバネバは気になるようだったら取っておきましょう。
まとめ
色々書きましたが、これは私が独自に考えた方法でしかありません。
もっと綺麗に作る方法や効率的な方法があると思うので、もし良いアイデアのある方がいたらコメントなどでお知らせください。
下の動画はA4版楽譜を実際に製本した動画です。みんなで綺麗な製本ライフを送りましょう!
「こんな内容を扱ってほしい!」というリクエストがありましたら、こちらのフォームから入力していただけたら、ふとした時にまとめるかもしれません。