このブログに来る方の大半が、検索から「ト音・ヘ音記号の形の由来」というページを見に来ているようです。ありがとうございます。
今回は、そのページでは紹介していなかったハ音記号について少しまとめてみたいと思います。
ハ音記号とは
この記号はハ音(ドの音)を示すための記号で、記号のくびれている部分がドになります。
ト音記号とヘ音記号で加線を使って表すドの高さが、ハ音記号ではちょうど真ん中の線にきます。下の画像は、ト音記号とヘ音記号との位置関係を表したものです。
ちなみにハ音は英語ではCなので、Cの形を図案化して作られていると思うのですが形の由来の情報が見つかりません。詳しい方がいましたら教えてください。
ハ音記号の使い方
ピアノの楽譜を見ているとト音記号とヘ音記号だけで十分な気がしますが、歌や楽器の音域によっては加線だらけになって読みにくくなってしまいます。
それをハ音記号を使うことで避けられるので大変便利な記号です(歴史的にはハ音記号からト音・ヘ音記号に置き換えられました)。
例えば、下の楽譜にある2つの音符は同じ高さを示しています。ト音記号では加線を使ってあらわす音が、加線を使わずに書けています。
今ではヴィオラの楽譜でのみ使う記号ですが、昔の楽譜を見るとアルトの楽譜もこの記号で書かれているものがあります。
次の楽譜も同様です。加線を使うことなく書けています。
ト音記号で表すには低い音域や、ヘ音記号で表すには高い音域を加線なしで表すのにハ音記号は役立ちます。
ハ音記号の種類
このハ音記号は元は声楽のための記号で、それぞれの声域によって使い分けていました。
今ではほぼ使われていない記号もありますが、オーケストラで演奏する楽器の一部では使われている記号もあります。
楽譜上にある音は、全て同じ高さのドを表しています。
ソプラノ記号
メゾソプラノ記号
アルト記号
今でもヴィオラの楽譜で使われています。
テノール記号
今でもチェロ、ファゴット、トロンボーンなどの楽譜で使われています。この記号が出てきたら音域が高くなるので、主要な旋律の部分だと考えてもいいでしょう。
バリトン記号
昔はこれらの記号を用いて声楽パートを表していたので、例えばモーツァルトのアヴェ・ヴェルム・コルプスの楽譜(NMAオンライン)にもその名残があります。
ハ音記号の書き方
印刷楽譜にあるような書き方、L字形、K字形の3パターンが多いと思います。
一番左の形が分かりやすいですが、簡単に書くときは真ん中の書き方や一番右の書き方でもいいようです。
ただ、読み間違いを防ぐためにも真ん中の書き方をオススメしておきます。
おまけ
YouTubeの方にアップした動画を見てくれた方から「プッチーニの蝶々夫人に出てくるこの記号はハ音記号なのか」質問がありました。
どうやらこれはト音記号のようで、すでに絶版の新訂音楽通論(山縣茂太郎著)に詳細が書かれてありました。
動画にもまとめたので、良かったら見てみてください。
「こんな内容を扱ってほしい!」というリクエストがありましたら、こちらのフォームから入力していただけたら、ふとした時にまとめるかもしれません。