僕が専門的に勉強している現代音楽の楽譜をながめていると、かなり読みにくい楽譜が出てきます。
今回は、その中でも見て分かりやすい音符を紹介したいと思います。昨日のトーンクラスターについての記事を書きましたが、そういう曲の楽譜です。
僕はこういう形の音符を勝手に「ぶどう和音」と読んでいます。クラスターという言葉自体が「(ぶどうなどの)房」を意味していますから、この呼び方はほぼ公認ですよね。
よく見てみると音符がぶどうの粒に見えてきませんか? 左の二分音符はマスカット、右の八分音符たちは巨峰かデラウェアでしょうか。
鍵盤が弾ける人は手のひらを横にしてピアノの鍵盤を弾いてみてほしいんですけど、クラスターの音は適当に弾いているような、もしくは猫を鍵盤に乗せた時のような音が鳴ります。
こういう音の使い方はヘンリー・カウエルというアメリカの作曲家が考えていたものです。
下の動画は「3つのアイルランド神話」という曲なんですが、左手はずっとトーン・クラスターになっていて、オクターブの中にある白い鍵盤を全部弾くように言われていますね。
綺麗なペンタトニック風のメロディーとのギャップが激しいですね。曲が進むにつれて低音のクラスターがうるさくなっていきます。
ちなみにこの曲の中ではぶどうではなくて棒の形で書かれています。書き方に関しては厳密に決められているわけではないので、自由に書いて問題ありません。
お次はこんな和音。僕は勝手に「さくらんぼ和音」と呼んでいます。
これは特別名前が付いている訳ではないのですが、増一度(ド♮とド#など)の音を和音で書こうとするとこうなります。
一番下の段がさくらんぼ祭りですね。延々さくらんぼです。
さっきのぶどう和音より困るのは、和音自体が幅をとるのでひとつの和音に見えないということ。かなり困ります。
かつての作曲家が色々な音を和音にくっつけていった結果、和音の基本的な形である「だんご三兄弟」が、今回のようなぶどうやさくらんぼになっていきました。
細かい話はこちらの記事にまとめてあります。
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